Ⅰ.調査主旨 |
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1. |
電子写真方式のプリンタや複写機の高速機は、これまでオフセット印刷機が手掛けてきた分野に進出し始めてすでに10年が経過している。無版印刷は、有版印刷機のような無駄がでないので少部数印刷ユーザーに向いているといわれた。そのためインディゴ、ザイコンなどの海外メーカーから次々と新製品が出されたが、品質問題のため思うように普及していない。また、国内メーカーでは、富士ゼロックスがドキュテックを上市し、印刷向け業務向け市場を開拓し、徐々に市場を拡大してきた。 |
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2. |
次いでコニカミノルタのカラープリンタは、業務用印刷機としてドキュテックより安い価格で上市したため、さらに市場に刺激を与え、POD(プリントオンデマンド)市場が注目され始めた。そして、2007年にはキヤノンが、2008年にはリコーが業務用のカラー出力機を上市し、市場がやっと活気づいてきた。 |
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3. |
無版印刷は、最初は多品種少量印刷向けとみられたが、次いで、一部のデータのみを変えて印刷するバリアブル印刷(NTTなどの請求書に代表される One
to One Marketing)として注目された。次いで、印刷の一部に広告を載せたトランスプロモ(プロモーションが入ったトランザクション印刷)が注目されるようになり、多品種大量印刷まで印刷範囲を拡大し始めている。 |
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4. |
一方、電子写真方式の出力機では、凹凸のある紙への印刷は難しいため、インクジェット方式の出力機が注目されるようになり、この新市場にインクジェット方式のプリンタも競合し始めようとしている。 |
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5. |
印刷技術方式の違いのみならず、印刷用紙の大きさも市場を分けている。少ロットのA2以上のカラーは、これまで電子写真方式がなく、大判インクジェット方式の独壇場だった。しかし、最近になりA0のカラー電子写真方式の出力機が上市された。また、2009年夏にはA2サイズの超高速インクジェットプリンタが富士フイルム、大日本スクリーンから発売される見通しで、オフセット印刷市場の代替を狙っている。 |
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6. |
これまで印刷といえば、オフセット印刷機に代表される「有版印刷機による印刷」であった。しかし、この10年間で電子写真印刷やインクジェット印刷機の画像レベルが飛躍的に向上したために、これまでのオフセット印刷機が手掛けてきた分野のみならず、多品種少量印刷、トランザクション印刷など、手掛けてこなかった分野まで市場が拡大していくことが分かってきた。 |
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7. |
そこで弊社では、オフセット印刷機、電子写真印刷機、インクジェット印刷機が、利用分野ごとにどのように競合し、どのように棲み分けているのかを、ハードウェアの出荷状況、トナーの出荷量、インクの出荷量、紙の種類別出荷量、チャージシステム、ランニングコストなどを総合的に比較分析し、今後の市場を予想しようとするものである。 |
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8. |
「ユーザーアンケート」も実施し、プロ向けの電子写真製品やインクジェット機、大判サイズ機のユーザー10社、17製品についての調査結果も掲載した。 |